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いちごの花が咲かない・実がならない
いちごの花が咲かない、花は咲くのに実がならない、実の形が悪い、小さい、甘くない。原因ごとの見分け方と、今からできる対処をまとめました。人工授粉のやり方、摘花と葉かき、冬越しの置き場所、収穫時期の目安まで。春になっても花が上がってこない方はご覧ください。

まず、時期を確かめます
秋に植えたいちごは、冬のあいだ葉を地面に伏せてじっとしています。花が咲きはじめるのは、暖かい地域で3月、多くの地域では4月に入ってからです。
| 時期 | 株の様子 |
|---|---|
| 12月〜2月 | 休眠。葉が赤くなり、地面に張りつくように小さくなります |
| 2月下旬〜3月 | 中心から明るい緑の葉が立ち上がってきます |
| 3月下旬〜4月 | つぼみが上がり、白い花が咲きます |
| 5月〜6月 | 収穫。花が咲いてから30〜40日で赤く色づきます |
3月のうちに花がなくても、中心から新しい葉が次々に出ていれば、順調です。4月の半ばを過ぎてもつぼみが見えないときに、下の原因を順に確かめます。
「いちごは冬に食べるもの」という印象は、ハウスで暖房をして育てたいちごが店に並ぶためです。屋外で育てるいちごの収穫時期は、5月から6月です。
花が咲かないときの、5つの原因
1. 冬の寒さに当たっていない
春に実をつける一季なりのいちごは、秋の涼しさと日の短さで花芽をつくり、冬の寒さにしっかり当たることで休眠から覚めます。冬のあいだ室内や暖かい玄関に取り込んでいた株は、春になっても葉が小さいままで、花がなかなか上がってきません。
冬越しは、屋外に置いたままが正解です。氷点下5度ほどまでなら、防寒をしなくても枯れません。今年咲かなかった株も、次の冬を屋外で過ごさせると、翌春には咲きます。
2. 窒素が多すぎる
葉が大きく、色が濃く、株は立派なのに花が少ない。この姿は、肥料の窒素が効きすぎているしるしです。株が体を大きくすることを優先して、花をつくるのを後回しにしています。
追肥をいったん止め、プランターなら水やりのたびに鉢底からしっかり水を流して、余分な肥料を抜きます。春の追肥が3月以降にずれたときにも、同じことが起こります。
3. 日当たりが足りない
いちごは、少なくとも半日は直接日の当たる場所を好みます。日照が足りないと、葉の柄がひょろりと長く伸び、花の数が減ります。
冬と春では、太陽の高さが変わって日の当たる場所も動きます。プランターは、春の日なたに合わせて置き直します。ベランダでは、台にのせて手すりの影から出すだけでも変わります。
4. 植え付けが遅かった、株が小さい
11月下旬以降に植えた株や、植えたときの苗が小さかった株は、根が張りきらないまま冬に入ります。クラウンに養分の蓄えが少ないため、春の花の数が少なくなります。
この場合は、咲いた花を大事に育てます。数は少なくても、1粒ずつは大きく育ちます。
5. 株が疲れている、古くなっている
何年も同じ株を育てていると、クラウンがいくつにも分かれて芽が込み合い、花が小さく、少なくなります。前の年にランナーを伸ばし放題にした株も、養分を使い切っています。
ランナーで増やし続けた株は、ウイルスがたまって勢いが落ちていることもあります。葉が年々小さくなってきたら、苗を新しくする時期です。
花は咲くのに実がならないのは、受粉が足りていません
いちごの花の中心には、黄色い小さな山があります。山の表面には雌しべが200本以上並んでいて、1本ずつが受粉すると、その下の部分がふくらんで実になります。受粉しなかった花は、中心が黒くなって、そのまま枯れます。
畑では、ミツバチやハナアブが花の上を歩き回って受粉させてくれます。ベランダや、虫の少ない春先は、人が手を貸します。
人工授粉のやり方
- やわらかい筆、綿棒、耳かきの梵天のいずれかを用意します
- 花が開いてから3〜4日のうちに行います。花びらが散りはじめた花は、時期を過ぎています
- 晴れた日の午前中から昼ごろ、花粉が乾いてさらさらしている時間帯を選びます
- 花のまわりに並ぶ雄しべを軽くなでて花粉をつけ、中心の山を、てっぺんから裾まで円を描くようになでます
- 花は次々に咲くので、2〜3日おきにくり返します
花粉がよく働くのは、気温が15〜25度のときです。寒い日に咲いた花は実になりにくいため、暖かい日にもう一度なでておくと確実です。
冬に咲いた花は摘みます
暖かい日が続くと、12月から2月にも花が咲くことがあります。この時期は虫がおらず、寒さで花粉も働かないため、実にはなりません。株の養分を使うだけなので、見つけたら花の付け根から摘み取ります。
実の形が悪い、小さい、甘くないとき
| 実の様子 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 先がとがらず、でこぼこしている。片側だけふくらんでいる | 受粉のむら。受粉しなかった雌しべの部分がふくらみません | 筆で中心の山全体をまんべんなくなでます |
| 実が小さい | 花の数が多すぎる、水切れ、株が小さい | 摘花をします。開花から収穫までは、水を切らさないようにします |
| 色は赤いのに甘くない | 日照不足、窒素の効きすぎ、水のやりすぎ、早採り | 日なたに移し、へたの際まで赤くなってから摘みます |
| 実に灰色のかびが生える | 灰色かび病。雨や水やりで実がぬれています | かびた実はすぐに取り除き、水は株元にあげます |
| 実に穴があく、かじられている | ナメクジ、鳥 | 実を土から浮かせ、色づく前にネットをかけます |
いちごは、摘んだあとに甘くなることはありません。店のいちごは輸送のために少し早く摘まれていますが、家庭では、へたのすぐ下まで真っ赤になるのを待ってから摘めます。
5月の後半、気温が上がってくると、実が赤くなるまでの日数が短くなり、粒が小さく、味も軽くなります。株のせいではなく、季節の終わりの合図です。
摘花と葉かきで、実を大きくします
摘花
いちごの花は、1本の花茎に房になって咲きます。最初に咲くいちばん上の花が最も大きな実になり、あとから咲く花ほど実が小さくなります。
房の先のほうにつく小さなつぼみを早めに摘むと、残した実に養分が集まり、粒がそろいます。数をとりたい方は、そのまま全部ならせても構いません。
葉かき
枯れた葉、赤茶色になった古い葉、地面にべったりついた葉は、付け根から取り除きます。病気の出どころが減り、株元に日と風が入ります。
春、新しい葉が増えてきたら、外側の古い葉を取って入れ替えていきます。緑色の元気な葉は、実を甘くする養分をつくっている最中なので、残します。取るのは、役目を終えた葉だけです。
収穫の時期に伸びてくるランナーも、実に回る養分を使うので切ります。
根が元気なら、株は応えてくれます
花の数も、実の大きさも、もとをたどれば根の量に行き着きます。秋から冬のあいだに白い根をたくさん張った株は、春に多少の失敗があっても持ち直します。
いちごの根は、湿ったままの土では傷み、乾かしすぎてもしおれます。伊勢屋の「苺培土Special」は、水もちと水切れを両立させた、いちご専用の土です。来年の植え付けで土を見直すと、春の花の上がり方が変わります。
よくある質問
5月になっても花が咲きません。もう咲きませんか
5月に入ってからつぼみが上がることは少なくなります。今年は株を育てることに切り替え、6月からのランナーで子株を取り、秋に植え直すと、来年の春に咲きます。冬は屋外で寒さに当てます。
人工授粉は、毎日したほうがいいですか
2〜3日おきで足ります。1つの花が受粉できる期間は、開いてから3〜4日です。そのあいだに1〜2回なでれば十分です。
虫が来る庭でも、人工授粉は必要ですか
花にミツバチやハナアブが来ていれば、任せて大丈夫です。雨や低温が続いて虫の姿が見えないときだけ、筆で補います。
四季なりいちごも、冬の寒さが必要ですか
四季なりの品種は、寒さに当たらなくても、暖かい時期に花を咲かせ続けます。春にしか咲かない一季なりの品種とは、花をつけるしくみがちがいます。
冬に葉が赤くなって、枯れたように見えます
寒さに耐えている姿です。中心の芽が緑色なら生きています。枯れた葉だけを取り除き、土が乾いたら暖かい日の午前中に水をあげて、春を待ちます。
原因が分からないときは、相談できますか
株全体と、中心の芽の様子が分かる写真を添えてお問い合わせください。肥料、土、置き場所のどこを直せばよいか、お答えします。
