Disease
いちごの病気と炭そ病
いちごの病気を症状から見分ける表と、炭そ病(炭疽病)・うどんこ病・萎黄病・灰色かび病・根腐れの防ぎ方をまとめました。葉に斑点が出た方、株が急にしおれた方、夏に苗を枯らした経験のある方は、株を抜く前にご覧ください。

昨日まで元気だった株が、急にしおれたら
朝は葉がぴんと立っていたのに、昼すぎに見ると株全体がぐったりしている。水をあげても戻らない。
いちごを育てていて、いちばん驚く場面です。
いちごの病気は、種類によって出る場所と季節がちがいます。葉を見るのか、株元を見るのか、実を見るのか。見る場所が分かれば、次にすることが決まります。
伊勢屋肥料農材が、いちごの生産農家から日ごろ受けている相談をもとに、家庭菜園でも出会いやすい病気をまとめました。
症状から見分ける、いちごの病気
| 病気 | 出やすい時期 | 最初に出る症状 | 進むと |
|---|---|---|---|
| 炭そ病 | 梅雨〜9月の高温期 | 葉に黒い小さな斑点。ランナーや葉の柄に、黒くへこんだ細長い病斑 | 株元のクラウンが侵され、株全体が急にしおれて枯れます |
| 萎黄病 | 夏の高温期 | 新しい葉が黄緑色になり、3枚の小葉のうち1〜2枚が小さくねじれます | 下の葉から赤紫色になってしおれ、枯れます |
| うどんこ病 | 春と秋 | 葉の裏や実に、小麦粉をまぶしたような白い粉 | 葉がスプーンのように上へ巻き、実はつやを失います |
| 灰色かび病 | 春の収穫期、雨の続くとき | 実や花びらに水がしみたような斑点 | 実がやわらかく腐り、灰色のかびに覆われます |
| 根腐れ | 1年を通じて、水のやりすぎで | 下の葉から色が抜け、昼にしおれて夕方に戻ります | 根が黒褐色になり、新しい葉が出なくなります |
炭そ病と萎黄病は、株元を切ると分かります
どちらも株全体がしおれる病気です。抜いた株のクラウンを縦に切ると、ちがいが見えます。
炭そ病は、外側から内側へ向かって褐色に変色しています。萎黄病は、中を通る筋(維管束)が褐色になっています。
「枯れる」原因が、病気とはかぎりません
植え付けが深すぎてクラウンが埋まっている、肥料が濃すぎて根がやけている、真夏に水切れを起こした。こうした原因でも、株はしおれて枯れます。
葉に斑点がなく、クラウンの中もきれいなら、土と水やりを先に見直します。
炭そ病は、水はねと多湿で広がります
炭そ病は、いちごの病気のなかでいちばん被害が大きいものです。原因はかびの仲間で、28℃前後の高温と湿った環境で勢いを増します。7月から9月、とくに苗を育てている時期に多く出ます。
病斑が湿ると、表面にサーモンピンク色の粘った胞子のかたまりができます。雨粒やじょうろの水がここに当たると、しぶきに乗って隣の株へ移ります。風で飛ぶ病気ではなく、水で運ばれる病気です。
やっかいなのは、菌を持っていても症状が出ない株があることです。見た目は健全な親株から、ランナーを通じて子株へ、菌だけが先に引き継がれます。
株元まで侵された株は、元に戻りません。炭そ病は、出してから治す病気ではなく、出さないように備える病気です。
土と水やりでできる予防
水は株元に、低い位置から静かに
葉の上からシャワーのようにかける水やりが、しぶきをいちばん多く作ります。じょうろのハス口を外し、葉を手で持ち上げて、株元の土に注ぎます。
水やりは朝のうちに済ませると、夜まで葉が濡れたままになりません。
雨に当てない
梅雨から9月まで、プランターは軒下やベランダの奥へ移します。生産農家が夏の育苗を雨よけハウスで行うのも、同じ理由です。
鉢は地面にじかに置かず、台やブロックに載せると、地面からのはね返りを避けられます。
鉢の中を、湿らせすぎない土を選ぶ
いつも湿っている土は、株元の湿度を高く保ち、根も弱らせます。水をかけたら余分な水がすぐに抜ける土は、それだけで病気の出にくい環境になります。
伊勢屋のいちご専用培養土「苺培土Special」は、生産農家の「もう少し水切れがいい培土を」という声から生まれました。水やりの負担と、多湿による炭そ病のリスクの両方に配慮して、水もちと水切れを両立させた土です。
株のあいだをあけ、古い葉を取る
株と株がくっつくと、葉のあいだに湿気がこもります。枯れた葉や古い下葉は、晴れた日に付け根から取り除きます。雨の日や夕方に葉を取ると、傷口が乾かず、そこから菌が入りやすくなります。
肥料をやりすぎない
窒素が多いと、葉が大きくやわらかく茂り、病気にかかりやすくなります。うどんこ病と灰色かび病も、茂りすぎた株で出やすくなります。
病気は、苗と一緒にやって来ます
炭そ病も萎黄病も、畑やプランターに最初に入ってくる道の多くは、苗です。症状の出ていない苗が菌を持っていることがあるため、見た目だけでは選びきれません。
生産の現場では、健全な親株から苗を取ることが、防除のいちばん最初に置かれています。
ご自宅でランナーから苗を取るときも、考え方は同じです。前の年に病気の出た株、実が小さくなってきた株からは苗を取らず、元気な株を親にします。
発病した株の扱い
見つけた日に、抜き取ります
黒い斑点が出た葉を1枚取るだけでは、株の中に入った菌は残ります。炭そ病と萎黄病が疑われる株は、根のまわりの土ごと抜き取り、袋に入れて口を閉じ、自治体の決まりに沿って処分します。
畑のすみに積んだり、堆肥に混ぜたりすると、そこが次の伝染源になります。
触った手と道具を洗います
病気の株を触った手で隣の株を触ると、菌を運んでしまいます。ハサミと手袋は洗い、作業は元気な株を先に、疑わしい株を最後にします。
残った株を守ります
同じプランターの残りの株は、しばらく雨を避け、水はねに気をつけて様子を見ます。萎黄病は土に菌が残るため、その土にいちごを続けて植えるのは避けます。
薬剤は、登録のあるものをラベルのとおりに
薬剤を使うときは、いちごに登録のあるものを選び、ラベルに書かれた希釈倍数、使用時期、使用回数を守ります。うどんこ病や灰色かび病は、出はじめに使うほど効果が上がります。
どの薬剤を選べばよいか迷ったら、症状の写真を添えて肥料屋にご相談ください。伊勢屋では、農薬と肥料を扱う担当が、症状をうかがってお答えします。
よくある質問
いちごの葉に黒い斑点が出ました。炭そ病ですか
炭そ病のほかにも、葉に斑点が出る病気はあります。斑点が黒く、ランナーや葉の柄にもへこんだ病斑があれば、炭そ病の可能性が高くなります。迷うときは、その株をほかの株から離し、雨の当たらない場所で様子を見ます。
炭そ病になった株は、治りますか
株元まで菌が入った株は回復しません。早めに抜き取ることが、残りの株を守ることにつながります。
うどんこ病の実は、食べられますか
人に害のある病気ではありません。ただ、白い粉のついた実は味と香りが落ちるため、見つけたら早めに摘み取ることをおすすめします。
病気が出たプランターの土は、もう使えませんか
萎黄病と炭そ病が出た土は、いちごには使わないのが安全です。プランターと鉢底石はよく洗い、日に当てて乾かしてから使います。
毎年、夏に苗が枯れてしまいます
夏の高温期は、炭そ病がいちばん出やすい季節です。秋に新しい苗を植えて初夏に収穫を終える育て方なら、この時期を避けられます。
根腐れを防ぐには、どうすればいいですか
土の表面が乾いてから水をあげること、受け皿に水をためないこと、水はけのよい土を使うことの3つです。冬は土が乾きにくいので、水やりの間隔をあけます。
