How to Grow
いちごの育て方
いちごの苗の植え方を、肥料屋の目線で順にまとめました。植える時期、クラウンの深さとランナーの向き、プランターの土、水やりの加減、炭疽病の防ぎ方、冬越し、ランナーからの苗の取り方まで。秋にいちごを植える方は、作業の前にご覧ください。

秋に植えて、冬を越して、5月に摘みます
いちごの栽培は、10月の植え付けから始まります。冬の寒さに当たった株が春に花を咲かせ、5月から6月にかけて実をつけます。
半年以上のお付き合いになりますが、手のかかる作業は多くありません。大事なところは、植える深さ、水やりの加減、冬の過ごさせ方の3つです。
| 時期 | 作業 |
|---|---|
| 10月〜11月上旬 | 植え付け |
| 11月 | 1回目の追肥 |
| 12月〜2月 | 枯れ葉取り、冬に咲いた花を摘む |
| 2月中旬〜3月 | 2回目の追肥、畑はマルチを張る |
| 3月〜4月 | 開花、受粉の手助け |
| 5月〜6月 | 収穫 |
| 6月〜8月 | ランナーから来年の苗を取る |
植える時期は10月。遅くとも11月中旬まで
植え付けの適期は10月です。寒さが来る前に根を張らせておくと、冬のあいだに株が充実し、春の花の数が増えます。
11月中旬を過ぎると、根が伸びる前に休眠に入ってしまいます。苗が手元に届いたら、1週間以内に植えるのが目安です。
用意するもの
プランター
深さ15センチ以上のものを選びます。幅65センチの標準的なプランターに3株、直径30センチの丸鉢なら1〜2株が目安です。
実が縁から垂れ下がるように育つので、ストロベリーポットや少し高さのある鉢も向いています。
土
いちごの根は浅く細いため、水はけのよい土を好みます。いつも湿っている土では根が傷み、病気も出やすくなります。
当社の「苺培土Special」は、いちごの生産農家が苗づくりに使っている専用の土です。水をしっかり抱えながら余分な水は抜けるので、水やりの加減に慣れていない方でも根を傷めにくいのが特徴です。
畑で育てる場合
植え付けの2週間前に苦土石灰をまいて耕し、1週間前に堆肥と元肥を入れます。水はけをよくするために、高さ15センチほどの畝を立てます。株と株のあいだは25〜30センチです。
苗の植え方
1. クラウンを埋めない深さで植えます
いちごの株元には、クラウンと呼ばれる、王冠のようにふくらんだ部分があります。新しい葉と花はここから出てきます。
クラウンが土に埋まると、芽が腐って育ちません。反対に浅すぎて根が見えていると、乾いて根づきません。クラウンの下半分が土に隠れ、上半分が見えている深さがちょうどよい位置です。
2. ランナーの跡を、内側に向けます
苗をよく見ると、親株とつながっていたランナーの切り跡が残っています。いちごは、この跡の反対側に花と実をつける性質があります。
プランターなら、ランナーの跡を奥に向けて植えます。実が手前にそろい、縁から垂れて土に触れないので、傷みにくくなります。
3. 鉢底から流れ出るまで、水をあげます
植えたあとは、土と根をなじませるためにたっぷりと水をあげます。根がつくまでの1〜2週間は、土を乾かさないように気をつけます。
水やりは、株元に静かに
土の表面が乾いたら、たっぷりと
毎日決まった量をあげるのではなく、土の表面が白っぽく乾いたのを見てからあげます。あげるときは、鉢底から流れ出るまでたっぷりと。この乾きと湿りの繰り返しが、根を強くします。
冬も、水やりは続きます
冬のいちごは葉を地面に伏せて休んでいるように見えますが、根は生きています。プランターは冬でも乾くので、週に1〜2回、暖かい日の午前中に水をあげます。
葉の上からかけず、株元へ
いちごの病気の多くは、水はねで広がります。じょうろのハス口を外し、葉を持ち上げて株元に静かに注ぐのがおすすめです。
春になって実がついたら、実に水がかからないようにすると、灰色かび病も防げます。
炭疽病を防ぐ
炭疽病は、いちごの病気の中でいちばん被害の大きいものです。葉やランナーに黒くへこんだ斑点が出て、進むと株元のクラウンが侵され、株全体が急にしおれて枯れます。
原因はカビの仲間で、気温の高い時期、湿った環境で勢いを増します。胞子は雨や水やりの水はねに乗って、隣の株へ移っていきます。
治す方法がないため、予防がすべてです。
- 水は株元にあげ、葉や株に水をはね上げない
- 梅雨から夏は、雨の当たらない軒下にプランターを移す
- 鉢を地面にじかに置かず、台やブロックの上に置く
- 水はけのよい土を使い、鉢の中を湿らせすぎない
- 黒い斑点やしおれが出た株は、早めに抜いて、土ごと処分する
- 病気の出た株からは、来年の苗を取らない
秋に植えて初夏に収穫を終える育て方なら、炭疽病の出やすい真夏を避けられます。気をつけたいのは、収穫のあとに株を残して、夏にランナーから苗を取るときです。
冬越し
寒さに当てます
いちごは、一定の寒さに当たることで春に花を咲かせる準備をします。プランターも室内に取り込まず、屋外に置いたままにします。
雪の下になっても枯れることはありません。
枯れ葉を取り、冬の花は摘みます
赤く色づいたり茶色く枯れたりした葉は、病気のもとになるので、付け根から取り除きます。
暖かい日が続くと、冬のうちに花が咲くことがあります。この花は寒さで実にならず、株を疲れさせるだけなので、早めに摘みます。
2月に追肥をして、畑はマルチを張ります
2月中旬、新しい葉が動きはじめるころに2回目の追肥をします。畑では、このあと黒いマルチや敷きわらを敷くと、地温が上がり、実が土で汚れるのも防げます。
花が咲いたら
3月から4月、白い花が咲きはじめます。ベランダなど虫の少ない場所では、やわらかい筆で花の中心をまんべんなくなでて、受粉を助けます。
受粉にむらがあると、実がいびつな形になります。形のよい実をとるための、ひと手間です。
花が咲いてから30〜40日で、実が赤く色づきます。へたの近くまで赤くなったものから、朝の涼しいうちに摘み取ります。
鳥もいちごが赤くなるのを待っているので、色づきはじめたらネットをかけておくと安心です。
ランナーから、来年の苗を取る
収穫が終わるころから、親株からランナーが次々に伸びてきます。
2番目より先の子株を使います
ランナーの先にできた子株を、土を入れたポットの上に置き、U字のピンで留めておくと根を下ろします。親株にいちばん近い1番目の子株は、大きくなりすぎたり、親株の病気を引き継いだりしやすいため、2番目、3番目の子株を苗にするのが一般的です。
根がついたら切り離します
子株の根がポットに回ったら、ランナーを切って独立させます。親株側のランナーを2〜3センチ残しておくと、秋に植えるとき、向きの目印になります。
夏の管理が、いちばんの山場です
苗を育てる夏は、炭疽病のいちばん出やすい季節に当たります。雨の当たらない場所で、株元に静かに水をあげながら、秋まで育てます。
自分で苗を取り続けると、年を追うごとに株の勢いが落ち、実が小さくなっていきます。2〜3年に一度、新しい苗に入れ替えると、いちご本来の大きさが戻ります。
育てていて迷ったら、聞いてください
「葉の色が薄い」「花は咲くのに実が大きくならない」。育てていると、本に書いていないことが起こります。
伊勢屋肥料農材は、いちごの生産農家に肥料と土を届け、栽培の相談を受けてきた肥料屋です。当社の苗や土をお使いの方からのご質問に、お電話とフォームでお答えしています。
