いちご苗の植え方。向きと深さ

いちご苗の植え方で決めることは2つだけです。深さは、株元のクラウンが半分見えるところまで。向きは、ランナーの切り跡を奥にして、実のなる側を手前に。この2つがそろえば、あとは水をたっぷりあげるだけで根づきます。深植えだけは春まで取り返しがつかないので、そこを中心にお話しします。
いちごの植え付けは、向きと深さでほぼ決まります
トマトやなすの苗は、少しくらい深く植えても浅く植えても育ちます。いちごはそうはいきません。茎がほとんど伸びない作物なので、植えたときの深さが、そのまま半年間の深さになります。
向きも同じです。いちごは株の片側に花房を出します。どちらに出るかは、植える時点でもう決まっています。植えたあとで株を回すわけにはいかないので、穴に入れる前のひと手間で春の収穫のしやすさが変わります。
10月は植え付けの最盛期。苗を手にしたら、まず株元をじっくり見るところから始めます。
深さは、クラウンが半分見えるところまで
株元にある、短くて太い茎がクラウンです。新しい葉も花も、この中心にある小さな芽から出てきます。
深すぎると、芽が土に埋まります
クラウンが土に隠れるほど深く植えると、中心の芽に土と水が入り込みます。芽は湿ったままになり、新しい葉が出てこなくなったり、株元から腐ったりします。植えて2〜3週間たっても中心から葉が上がってこない株は、たいてい深植えです。
浅すぎると、根が乾きます
反対に、根の付け根が土の上に見えている植え方では、いちばん新しい根が空気にさらされて乾きます。根づくのが遅れ、風で株がぐらぐら揺れます。新しい根はクラウンの付け根から出るので、そこが土に触れていないと、根の数そのものが増えません。
ポットの土の高さに合わせると、ちょうどよくなります
ポット苗の場合、むずかしく考える必要はありません。ポットの土の表面と、植えたあとのまわりの土の表面を、同じ高さにそろえます。育苗のあいだに苗が落ち着いていた深さが、その苗のちょうどよい深さです。
横から見て、クラウンの下半分が土の中、上半分と中心の芽が土の上。この姿になっていれば合っています。

向きは、ランナーの跡を見て決めます
株元に、細い茎の切れ端が残っていないか探します。親株とつながっていたランナーの跡です。いちごの花房は、この跡の反対側に伸びます。
| 植える場所 | ランナーの跡の向き | 実のなる側 |
|---|---|---|
| プランター | 奥。壁側 | 手前。縁から垂れ下がります |
| 畑の2列植え | 畝の内側 | 畝の外側。通路から摘めます |
| 畑の1列植え | 北側 | 日の当たる南側 |
向きをそろえると、実に日が当たって色づきがよくなります。プランターでは実が縁の外へ垂れるので、土に触れず、きれいなまま赤くなります。
跡が見つからないとき
ランナーの跡が短く切られていて分からない苗は、株の傾きを見ます。ポットを目の高さに持ち上げて横から見ると、クラウンがわずかに傾いています。花房は、傾いている側に出ます。傾いた側を手前に向ければ、同じ結果になります。
それでも分からない苗は、向きを気にせず植えて大丈夫です。実の数は変わりません。春に花房が奥へ出たら、葉をよけて手前に引き出してあげれば足ります。
苗と土のことは、伊勢屋にお聞きください
いちごの植え付けと植え替え植え付けの手順

用意するものは、苗、土を入れたプランターか畝を立てた畑、移植ごて、じょうろです。作業は、風のない曇りの日か、夕方がおすすめです。
- 植える1時間ほど前に、ポットの苗に水をあげておきます。根鉢が湿っていると、抜くときに崩れません
- 株間をはかって、植える位置に印をつけます。プランターは20センチ、畑は25〜30センチが目安です
- ポットと同じ深さ、ひと回り大きい幅の植え穴をあけます
- ポットを逆さにして株元を指ではさみ、底を軽く押して苗を抜きます。根鉢は崩しません
- ランナーの跡を奥に向けて、穴に入れます。ポットの土の表面と、まわりの土の高さがそろっているかを横から確かめます
- まわりの土を寄せ、根鉢と土のあいだにすき間が残らないように、手のひらで軽く押さえます。クラウンの上には土をかけません
- 株元に、鉢底から流れ出るまでたっぷり水をあげます。畑なら1株にじょうろでゆっくり1リットルほど
- 水が引いたあと、土が沈んで根が見えたところに土を足します
根鉢の底で根が固く巻いている苗は、底の部分だけを指で軽くほぐしてから植えると、新しい土へ根が出やすくなります。肩の部分は崩しません。
株間をあける理由
植えたばかりの苗は小さく、20センチや30センチのすき間は広すぎるように見えます。春になると葉が大きく広がり、このすき間がちょうど埋まります。株のあいだを風が抜けると葉が早く乾き、病気が出にくくなります。1株に十分な日が当たるので、実の大きさもそろいます。
曇りの日か夕方に植える理由
植えた直後の苗は、根がまだ新しい土から水を吸えません。日差しの強い昼間に植えると、葉から水分が抜けるほうが早く、しおれてしまいます。夕方に植えれば、ひと晩かけて根鉢とまわりの土がなじみ、翌朝の日差しを楽に迎えられます。
植えたあと1週間の見どころ
植えた直後の水やりで、土は思った以上に沈みます。水やりを重ねるうちに、まわりの土が流れ込んでクラウンが埋まってくることもあります。
1週間たったら、しゃがんで株元をのぞいてみます。中心の小さな芽が見えていれば大丈夫です。土がかぶっていたら、指先でそっとよけます。
新しい根が伸び出すまでの1〜2週間は、根鉢の中の水だけが頼りです。土の表面が乾きはじめたら、早めに水をあげます。中心から新しい葉がすっと立ち上がってきたら、根づいた合図。そこからは、土の表面がしっかり乾いてからあげるやり方に切り替えます。
外側の古い葉が赤くなったり枯れたりするのは、株が古い葉を手放しているためです。中心の葉が緑なら心配はいりません。
よくある失敗と、その直し方
倒れないように、深く植えてしまった
いちばん多い失敗です。小さな苗は頼りなく見えるので、つい土を寄せて株元を埋めたくなります。気づいたら、株を引き抜かずに、まわりの土を指でよけてクラウンを出します。抜いて植え直すと、伸びはじめた根が切れてしまいます。
根鉢をほぐして、古い土を落としてしまった
花の苗の植え替えの要領で根をほぐすと、いちごは細い根がたくさん切れます。秋の苗は、冬までに根を張る時間が限られています。根鉢は崩さず、そのまま植えます。
土を縁までいっぱいに入れてしまった
プランターの土を縁まで入れると、水やりのたびに水と土があふれ、株元の土が流れます。土は縁から2〜3センチ下まで。水が一度たまってからしみ込むので、根鉢の中まで水が届きます。
元肥の上に、じかに植えてしまった
いちごの根は、濃い肥料に触れると傷みます。畑では、元肥は植える1週間前までに入れて土になじませておきます。肥料入りの培養土を使うプランターでは、植えるときに肥料を足す必要はありません。
苗と土がそろっていると、根づきが早くなります
苗は、育ったポットの土と、植えた先の土の性質が近いほど、とまどわずに根を伸ばします。
伊勢屋肥料農材のいちご苗は、自社農園で、いちご専用の土「苺培土Special」を使って育てています。水をしっかり抱えながら、余分な水はすっと抜ける土です。同じ土に植え付けると、根鉢の中と外で水の動き方がそろい、根が新しい土へ伸びはじめます。植え付け直後の、根がまだ水を吸えない時期にも、土が湿りすぎません。
苗はポットのまま、根鉢を崩さずにお届けします。土をふるい落とさず、この記事の手順のとおりに植えられます。
よくある質問
いちごの苗は、どのくらいの深さに植えますか
ポットの土の表面と、植えたあとの土の表面が同じ高さになる深さです。株元のクラウンの下半分が土に入り、中心の芽が土の上に出ている状態が目安です。
ランナーの跡は、どちらに向けて植えますか
実をならせたい側の反対に向けます。プランターなら奥の壁側、畑の2列植えなら畝の内側です。花房は跡の反対側に伸びるので、実が手前や通路側にそろいます。
植えるとき、根はほぐしたほうがいいですか
ほぐさずに、根鉢のまま植えます。底で根が固く巻いているときだけ、底の部分を指で軽くほぐします。
植えたあと、葉がしおれてきました
植えて数日は、昼間に葉がしおれ、夕方に戻ることがあります。根がまだ水を吸いきれていないためで、土が湿っていれば、そのまま様子を見ます。日差しの強い日が続くときは、2〜3日だけ半日陰に移すと回復が早くなります。
植え付けのあと、すぐに肥料をあげてもいいですか
根づくまでは待ちます。植え付けから3〜4週間たち、新しい葉が動き出した11月ごろが、1回目の追肥の時期です。
1つのプランターに、ちがう品種を一緒に植えてもいいですか
植えられます。品種がちがっても、深さと向きの決まりは同じです。収穫の時期が少しずれるので、長く摘めるという楽しみもあります。



