Soil Making
いちごの土づくり
いちごの土作りを、肥料屋が順にご説明します。いちごが好む弱酸性で水はけのいい土の条件、自分で配合するときの材料と手間、畑の土づくりの手順と時期、古い土の再利用と連作の注意まで。秋の植え付けに向けて土を用意する方、去年うまく育たなかった方はご覧ください。

いちごの出来は、植える前の土で決まります
いちごは10月に植えて、翌年の5月に摘む作物です。植えてしまうと、半年以上、土を入れ替える機会はありません。
冬のあいだに根がどれだけ張れるかで、春に咲く花の数が変わります。その根が育つ場所を、植える前の数週間で用意するのが土づくりです。
「去年は葉ばかり茂って実が少なかった」「冬のあいだに株が消えてしまった」。こうしたご相談をうかがうと、原因が土にあることが少なくありません。
伊勢屋肥料農材が、いちごの生産農家と土の話を重ねるなかで確かめてきたことを、家庭菜園の方に向けてまとめました。
いちごが好む土には、3つの条件があります
弱酸性の土
いちごに向く土の酸度は、pH5.5〜6.5の弱酸性です。この範囲では、鉄やマンガンといった微量要素が土に溶けやすく、根が養分を吸いやすくなります。
日本の畑は雨で酸性に傾きやすいため、何年も石灰を入れていない畑では、植える前に酸度を確かめておくと安心です。土壌酸度計や試験液は、園芸店で手に入ります。
水はけのいい土
いちごの根は浅く、細く、酸素をたくさん必要とします。水やりのあとにいつまでも水が残る土では、根が息をできずに傷みます。
水はけのいい土とは、粒と粒のあいだにすき間があり、余分な水が下へ抜けて、そこに新しい空気が入ってくる土のことです。
水もちのいい土
水はけだけを求めて砂のような土にすると、今度は乾きすぎます。根が浅いいちごは、半日の水切れでも葉がしおれます。
余分な水は抜けるのに、粒の中には水が残っている。この2つがそろった土が、いちごの土です。
自分で配合するときの考え方
「いちごの土 配合」で調べると、いくつもの割合が出てきます。数字を覚えるより、材料ごとの役割を知っておくと、手元の土に合わせて加減ができます。
| 材料 | 役割 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 赤玉土(小粒) | 土の骨格。水はけと水もちの土台になります | 粒がつぶれると水はけが落ちます |
| 腐葉土・バーク堆肥 | 土をふかふかにし、肥料もちをよくします | 未熟なものは根を傷めます |
| ピートモス | 水をよく抱えます | 酸度を調整していないものは強い酸性です |
| 鹿沼土 | 粒の中に水を含み、粒のあいだは水が抜けます | 酸性寄りの土です |
| くん炭 | 通気をよくし、酸性をやわらげます | 入れすぎるとアルカリ性に傾きます |
| 元肥 | 根がついてからの栄養になります | いちごの根は肥料やけしやすいので控えめに |
骨格になる土に、ふかふかにする材料を足し、水はけを補う材料で調整する、という順に考えます。水をかけて、鉢底からすぐに流れ出るか、手で握ると軽く固まり、指で押すと崩れるかが目安です。
配合には、思ったより手間がかかります
材料は、どれも10リットル以上の袋で売られています。プランター2つ分の土を作るのに4〜5種類を買うと、半分以上が余ります。
混ぜる場所、余った材料の置き場所、来年まで湿らせずに保管する工夫も要ります。そして配合が合っていたかどうかは、春になるまで分かりません。
畑の土づくりの手順と時期
露地栽培の土づくりは、植え付けの2週間前から始めます。10月中旬に植えるなら、9月の終わりが取りかかる時期です。
- 植え付けの2週間前、苦土石灰をまいて深さ20センチほどまでよく耕します
- 1週間前、完熟堆肥と元肥を入れて、もう一度耕します
- 高さ15センチほどの畝を立てます。水はけの悪い畑では、さらに高くします
- 畝の表面をならし、植え付けの日まで土を落ち着かせます
石灰と肥料は、1週間あけて入れます
石灰と窒素肥料を同時にまくと、窒素がガスになって逃げてしまいます。2回に分けて耕すのはそのためです。
元肥は控えめに
いちごの根は、濃い肥料に触れると傷みます。元肥は、ゆっくり効く緩効性の肥料や有機質の肥料を、袋の表示より少なめに入れるのがおすすめです。足りない分は、11月と2月の追肥で補えます。
畝を高くする理由
畝を高くすると、雨のあとの水が通路へ流れ、根のまわりに空気が戻ります。春に実が畝の肩から垂れ下がるので、土に触れて傷むことも減ります。
古い土の再利用と、連作のこと
いちごのあとに、いちごを植えると
同じ場所で同じ作物を作り続けると、その作物を好む病原菌が土の中に増えていきます。いちごでは、萎黄病のように土から根に入る病気が、連作で出やすくなります。
畑では、いちごを作った場所を1〜2年あけて、別の作物を回すのが基本です。
プランターの土を再利用するとき
プランターの古い土は、粒がつぶれて水はけが落ち、前の株の根や病原菌が残っています。再利用するなら、次の順に手を入れます。
- 土を広げて乾かし、古い根と枯れ葉をふるいで取り除きます
- 夏のあいだに、湿らせた土を透明な袋に入れて口を閉じ、日なたに置いて太陽の熱で消毒します
- 新しい土や腐葉土を足して、つぶれた粒を補います
病気で枯れた株を育てていた土は、いちごには使わないほうが安全です。花や、いちごと科のちがう野菜に回すという方法もおすすめです。
「土 再利用」で調べている方の多くは、土を捨てる手間も気にされています。再利用にかかる手間は、新しい土を配合する手間とほぼ同じです。
土を作る時間を買う、という考え方
材料を選び、酸度を確かめ、混ぜて、試す。土づくりは、それ自体が楽しみになる作業です。
一方で、週末の限られた時間でいちごを育てたい方にとっては、いちばん時間のかかる工程でもあります。
伊勢屋には、「土を買うのは、土を作る時間を買うこと」という考え方があります。
いちご専用の培養土「苺培土Special」は、平成9年に、生産農家の「もう少し水切れがいい培土を」という声から1年かけて作った土です。鹿沼土を配合し、水もちと水切れを1つの土で両立させました。
袋を開けて、そのままプランターに入れて使えます。配合を考える時間と、合っているかどうかを春まで待つ時間が、そのまま苗の世話に回ります。
よくある質問
いちごの土は、野菜用の培養土でも育ちますか
育ちます。ただ、野菜用の培養土は水もちを重視したものが多いため、鉢底石を多めに入れる、受け皿に水をためない、といった工夫で水はけを補うと根が傷みにくくなります。
土の酸度は、どうやって測ればいいですか
園芸店で売られている土壌酸度計か、試験液を使います。畑の数か所から土を取り、平均を見るのがこつです。pH5.5を下回っていたら、苦土石灰で調整します。
苦土石灰をまいて、すぐに植えてもいいですか
2週間おくのがおすすめです。石灰が土になじむまでに時間がかかり、直後に植えると根が傷むことがあります。時間がないときは、効き方のおだやかな有機石灰を使う方法もあります。
水はけの悪い庭でも、いちごは育てられますか
畝を20センチ以上に高くするか、プランターで育てる方法をおすすめします。プランターなら、土をすべて自分で選べます。
去年いちごを植えたプランターの土を、今年も使えますか
同じ土に続けて植えると、病気が出やすくなります。古い土は花や別の野菜に回し、いちごには新しい土を使うと、春の出来が安定します。
畑の一部にだけ、培養土を使うことはできますか
できます。植え穴を大きめに掘り、根のまわりにだけ苺培土Specialを入れる方法があります。くわしい手順は、使い方のページでご紹介しています。
